耳の中で音を愉しむ。さらなる進化を遂げた骨伝導集音器「Vibone Nezu」

プロジェクト名

耳の中で音を愉しむ。
さらなる進化を遂げた骨伝導集音器「Vibone Nezu」

事業者名

ソリッドソニック合同会社

プロジェクト実施期間

2019年3月8日~5月30日

目標

300万円

成果

3,156,300円(105%)

プロジェクト実施者について

ソリッドソニック合同会社

代表者:
田中 哲廣
所在地:
神戸市垂水区高丸8-9-1
事業概要:
現在、当社の代表を務める田中氏は、10数年前に骨伝導の販売業者として業界に参入したが、当時の製品は音質のレベルが低く、ユーザーからの音質改善の要望に応えられるメーカーがいなかった。ユーザーの要望に応えるため、ソリッドソニック合同会社を2008年に創業し、自ら製品開発に携わるようになった。
URL:
http://www.solidsonic.jp/
問い合わせ先:
TEL 078-958-7088(担当:田中)

ソリッドソニック合同会社のコンセプト

2017年にマクアケでクラウドファンディングを実施し、振動子に圧電セラミックスを使用した世界初の「骨伝導集音器 Vibone(ヴァイボーン)」を開発した。

圧電セラミックスの特徴は、高音質でありながら小型化できることである。従来の頬骨に当てる骨伝導は振動のロスが多く、音質の低下やノイズを拾いやすいことが課題であった。圧電セラミックスを使うViboneでは、振動子を小型化したことでイヤホンとして耳の中に入れられるようになり、いままでの骨伝導の性能を凌駕する高音質を実現した。

前回のチャレンジで得た支援者からの声を製品にフィードバックし、更なる技術改良を加えた「Vibone Nezu(ヴァイボーン・ネズ(音集))」を開発するため、このたび2度目のクラウドファンディングに挑戦した。

あえて再びクラウドファンディングにチャレンジするわけ

一度目のクラウドファンディングで得たもの

2017年に骨伝導イヤホンの開発資金を調達するために初めてのクラウドファンディングを実施した。当時は、音を拾うためのマイク部分はスマホのマイクを使い、アプリで連動する方式の製品だった。
初回のプロジェクトでは予想外に多くの反響があり、思いがけないことがあった。もともと難聴に関する知識は全然なかったが、骨伝導イヤホンを体験した人の中に、たまたま片耳難聴の方がいた。「初めてステレオで音が聴こえた」とか、「音の方向性が分かった」という感想をもらえた。そんな方々の生活の質を改善し、人生を豊かにする一助になればとの思いで骨伝導イヤホンの可能性を追求するきっかけとなった。

当時は、片耳難聴の人の中でもはっきり効果があるのは10~20%程度だったが、それでも今まで聞こえていなかった人に効果があるなら大変意味のあることだと考えた。効果を感じられる人を増やすために骨伝導の音量を上げる研究に取り組んだが、圧電セラミックスは高電圧を必要とするため、スマホやミュージックプレーヤーの微弱な電圧では本来の音量を出せない。また、高齢者にはスマホとの連動が煩わしいとの意見もあった。
そこで、支援者からの感想を基に、マイク部分も一体化しスマホを使わずにスタンドアローンで使える新商品「Vibone Nezu」が誕生した。

「骨伝導集音器 Vibone(ヴァイボーン)」

二度目のクラウドファンディングの発信方法

1回目は前準備がなかったので苦労したが、クラウドファンディングを実施したことでSNSのフォロワーが増えてきた。この商品に対して関心の高いフォロワーに2回目は直接発信できる。また、インターネット上のメディアに対し一斉に情報発信(プレスリリース)できるネットプレスも積極的に利用しようと考えている。

2回目の新商品でもクラウドファンディングに挑戦したわけは、単に量産資金を得るためだけでなく、販路に対する狙いもあった。Viboneシリーズは、あえて補聴器としての認可は受けず、「集音器」として販売する。片耳難聴について調べる中で、世の中には片耳に聴こえにくさを感じつつも、そのまま生活している人がかなりいるとの話を聞いたからだ。そのような人たちにも使ってもらえるように、補聴器よりも安い価格帯になるように設計を検討した。また医療機器ではないので、販売場所の制約もなく一般の電気店など、どこでも買ってもらえる。
今まで補聴器を使ってなかった人にもVibone Nezuで、両耳で音を楽しめる体験をしてもらいたい。そのためにも、あえて発信先を絞らずに、今回もクラウドファンディングを通じて世の中に広くニーズ喚起を試みた。

「集音器」として販売ーVibone(ヴァイボーン)」

プロジェクトで苦労したこと

文字と写真で「聴こえる」を表現する難しさ

インターネット上で情報発信するクラウドファンディングでは、基本的に文章と写真で商品の説明をすることになる。Vibene Nezuの「聴こえる」という価値をどのように表現するかで悩んだ。
1回目のプロジェクトでは、自分たちが開発した商品の性能を伝えたいという思いが強くなりすぎて、性能の裏付けとなる専門用語を多用した難解なページになってしまった。
そこで今回のプロジェクトでは、技術的な解説をばっさりと省略した。自分たちがVibene Nezuを通じて実現したかった、「音が聴こえる楽しみを知ってもらいたい、音が聴こえることで元気になってもらいたい」という点にフォーカスしたページ構成にした。それには第三者の感想が伝わりやすいだろうと考え、1回目のプロジェクトの支援者から届けられた感想を中心にページを表現した。

クラウドファンディングの成果

プロジェクト実施者の言葉

1回目のクラウドファンディングで、自分たちの商品がどんな人たちから求められるのかを知ることができた。その声を反映した今回のプロジェクトで、どのようなコメントがもらえるか。クラウドファンディングを通じたエンドユーザーとの交流を今後の事業展開に活かしたい。
また、1回目のプロジェクトでは、老人ホームなどの施設からも問合せがあったが、スマホに連動させる必要があったので現場での使い勝手がよくなかった。使い勝手が大幅に改善された今回の新商品に業務需要があるのか確かめるため、10個まとめ買いというリターンを設定してみた。こうした市場調査ができることもクラウドファンディングの活用ポイントだと思う。

さらに未体験、未体感の、しかも高額なものであると、支援者もなかなか手が出ないことも納得できる。その解決策として試聴会、体験会を催したい。そうした、イベントの告知や募集にもクラウドファンディングが大きな力になってくれる

今後に向けて

「聴こえることで暮らしを豊かにしたい」という思いで今回のプロジェクトを実施した。次は、耳が聴こえにくくて困っている人だけでなく、誰でも使える新商品に進化させたい。難聴者だけでなく、健常者も使いたくなるユニバーサルデザインの骨伝導イヤホン。難聴者と健常者の隔たりを無くす、普及の鍵はそこにある。自分たちの骨伝導の技術で、世の中が楽しくなるきっかけになればいいなと思う。

骨伝導の基盤技術となる「振動」の研究では、免震や騒音といった研究分野は比較的進んでいるものの、骨伝導のような微細な振動については研究が進んでいないのが現状である。それは逆に、骨伝導には未知の可能性がまだまだあるという事なので、今後も意欲的に研究開発に取り組みたい。

ページ制作を担当した有限会社TechnoTop クリエイティブディレクター
堀川雄一氏から一言

「モノの販売」ではなく「世の中の課題解決」として提案

今回の商品は「耳が聴こえにくい」といった悩みを持つ、クラウドファンディングでもターゲット層が狭い商品です。
田中さんのインタビューを通して、片耳難聴の実態、難聴に対する認知、社会的補助、難聴に対する研究など、骨伝導が普及しづらい社会であることも知りました。そこで、ただモノを売るのではなく、バックボーンを知ることにより商品の必要性が訴求されると考え、前回のプロジェクトページとは違い機能性でなく必要性に焦点を当て制作しました。

有限会社TechnoTop 堀川雄一氏

「モノの販売」ではなく世の中の課題解決」として提案

有限会社TechnoTop 堀川雄一氏

プロジェクト実施者は自社商品、技術を知ってほしいと思うのが常です。しかし「こはぜを知っていますか?」この問いに対して答えられた方は1割もいませんでした。また知らなくても生活できています。これがプロジェクト実施者と支援者の熱量の差となります。一方的な熱い想いは、時として疎まれる原因にもなり得ると考えています。そうならないよう、支援者が必要とする商品魅力を訴求しつつ、それらを解決しているのはこはぜであるといった構成にしました。